神戸新聞NEXTの書評に取り上げられた作品
今回「明治~昭和初期の大阪・商家の物語」である、この書籍の装幀・編集を担当させて頂きました。
原稿を読み込み「表紙」はもちろん「目次」や「本文のフォント」など細部にこだわりを持ってレイアウトしていくのが、ページデザインの醍醐味です。オシャレカフェのみならす〝純喫茶〟がブームでもある今、若い人にも受け入れられるようレトロな世界観を大切にしました。
この書籍をお薦めしたい理由が「実話をまじえリアリティを追求している」というところ。
著書の上念素子さんは初め「家の歴史を形に残そう」と娘さんのために軽い気持ちで執筆していました。しかし、ご健在の100歳近い大叔母さんから昔話をお聞きするうち、歴史好きに火がついて、資料収集に力を入れるようになったのです。栄華を極めた中之島、昭和初期まで田んぼしかなかった梅田…大阪の栄枯盛衰と、一家族の物語が素晴らしくマッチングしています。
長編ではないので読みやすい
全14章で構成されているこの作品。どれか気になるワードありますか?7章に登場する〝ルナパーク〟は1912年(明治45年)に新世界に開園された遊園地です。
1 廻船問屋とお父はんの段
2 お母はんの段
3 薬種問屋のおばあちゃんの段
4 西宮のおじいちゃんとおばあちゃんの段
5 香櫨園に遊ぶの段
6 タマの段
7 ルナパークの段
8 姉ちゃんの嫁入りの段
9 芦屋浜の段
10 船もぐりの段
11 大学進学の段
12 大学生活の段
13 大阪に帰るの段
14 廻船問屋を閉めるの段
『廻船問屋の中ぼんさん』のそれから……
『廻船問屋の中ぼんさん』に寄せて
児童文学・こどもの生活文化研究家 梓 加依
新世界にかつて存在したルナパーク
絶叫マシーンも話題になったこの遊園地は11年もの間、営業されていたそうです。
このジオラマはたまたま大阪・天満にある「大阪くらしの今昔館」で披露されていました。
イラストと、当時の貴重な写真付き
廻船問屋の中ぼんさん(次男)であるけんちゃんを中心に、商家一家に様々な事件や出来事が展開されます。
児童文学・こどもの生活文化研究家の梓 加依さんが「結構、今にも通じることがあって、おもわず笑いが出る」と評してますがまさにそう。登場人物のキャラクターが活きています。
夙川や、芦屋の昔の姿も多く登場
片鉾池の上にある夙川公民館(お花見に行かれた方は目にしているのでは)の辺りには、大きな遊園地内の〝ウォーターシュート〟があったというのは信じられない事実。ノスタルジックな世界と商人生活のリアリティをぜひ楽しんで下さい
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講演依頼も多数来るように
また、著者は郷土史に関心が深く、この本をきっかけに講演依頼が多数きているようです。
8月には芦屋市民センター ルナ・ホールで「阪神間の近代と商家の生活 『廻船問屋の中ぼんさん』をめぐって」が開催されました。兵庫・神戸のヒストリアンこと田辺眞人先生がプロデュースした企画で、大盛況。本の売れ行きも上々だったとか。
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